肺炎球菌ワクチン(小児)

ワクチン概要

肺炎球菌ワクチンとは?

肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)は、子どもに 中耳炎肺炎髄膜炎(ずいまくえん:脳と脊髄を包んで守っている膜〈髄膜〉や、その間の空間〈くも膜下腔〉に炎症が起こる病気) などを引き起こす細菌です。特に、血液や脳まで広がる 侵襲性肺炎球菌感染症(しんしゅうせいはいえんきゅうきんかんせんしょう:invasive pneumococcal disease、略称:IPD) は重症化しやすく、早期に見つけにくいことがあります。

このような重い感染症を防ぐために、 肺炎球菌結合型ワクチン(pneumococcal conjugate vaccine:PCV) が定期接種として行われています。

予防対象となる病気


病原体:
肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)
  • 中耳炎
  • 肺炎
  • 髄膜炎(ずいまくえん)
  • 敗血症(はいけつしょう)など

とくに、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)は重症化しやすいため、早期からの予防が大切です。

肺炎球菌ってどんな菌?

肺炎球菌は、健康な人の鼻やのどにすむこともある常在菌(じょうざいきん)ですが、体の抵抗力が弱まると中耳炎・肺炎・髄膜炎などを起こします。とくに小さい子どもは免疫が未発達なため、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)を発症しやすく、重症化することがあります。

肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)

肺炎球菌結合型ワクチンとは

肺炎球菌ワクチンは、乳幼児でもしっかりと免疫がつくように工夫された「肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)」です。現在、日本では2種類の製剤が使われています。

製品名 製造元 カバーする血清型 特徴
プレベナー20(PCV20) ファイザー社 20種類(従来の13種類+7種類) より多くの肺炎球菌の型をカバーし、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の予防効果が広がっている。
バクニュバンス(PCV15) MSD社 15種類(従来の13種類+2種類) 従来ワクチンを改良した製品で、安全性と効果が確認されている。

当院で使用しているワクチン

当院では、現在プレベナー20(PCV20)を原則として使用しています。ただし、初回をバクニュバンス(PCV15)で始めた場合は、基本的に同じ製品で最後まで接種します。これは、途中で製品を切り替える「交互接種」に関するデータがまだ十分でないためです。

どちらの製品も、厚生労働省により小児の定期接種ワクチンとして安全性と有効性が承認されています。

対象年齢とスケジュール

肺炎球菌ワクチン(PCV)は生後2か月から接種を開始できます。標準的なスケジュールは「3回+追加1回(3+1)」です。

開始の時期 回数と間隔
生後2〜6か月 4回(4週おきに3回+12〜15か月に追加1回)
生後7〜11か月 3回(4週おきに2回+12〜15か月に追加1回)
1歳以降 2回(間隔をあけて2回)
2〜4歳 1回

※開始月齢や接種歴によって、必要な回数や間隔を医師が個別に判断します。

なぜ「生後2か月スタート」が大切?

髄膜炎などの侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)は、0歳の前半から起こることがあります。必要な免疫を早めに獲得するため、生後2か月になったら接種を始め、6か月までに初回3回を終えるのが理想です。12〜15か月に行う追加接種で、免疫の効果を長く保つことができます。

他のワクチンとの同時接種

肺炎球菌ワクチン(PCV)は、五種混合ワクチン、B型肝炎ワクチン、ロタウイルスワクチンなどとの同時接種が可能です。同時接種を行うことで通院回数を減らし、接種の完了を早められます。組み合わせや順番は、お子さんの年齢・体調・接種歴に合わせて医師が個別に調整します。

ワクチンの効果と限界

肺炎球菌ワクチン(PCV)の導入後、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)をはじめとする重い感染症の発生は大きく減少しました。ただし、すべての肺炎球菌の型を防げるわけではありません。

また、保育園や幼稚園などの集団生活では、手洗い・咳エチケットといった基本的な感染対策も重要です。

副反応と受診の目安

よくある症状

  • 発熱
  • 注射した部位の赤み・はれ・痛み
  • 不機嫌・眠そうになる

これらは多くが2〜3日以内におさまります

自宅でのケア

  • 水分をしっかりとる
  • 安静に過ごす
  • 必要に応じて医師の指示で解熱剤を使用

受診が必要なとき

  • 水分がとれない
  • ぐったりしている
  • 高熱が続く
  • 呼吸が苦しそう
  • 広い範囲に発疹や強い腫れがある

「いつもと様子が違う」と感じたときは、ためらわずに受診してください。

Q&A

Q1. どの製品を使うの?

当院では原則プレベナー20(PCV20)を使用しています。初回をバクニュバンス(PCV15)で始めた場合は、同じ製品で完了します。どちらも厚生労働省が承認した安全な定期接種ワクチンです。

Q2. ワクチンで全部の肺炎球菌を防げますか?

すべての型を防ぐことはできませんが、重い感染症である侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)を防ぐ効果は非常に高く、接種はとても大切です。

Q3. 他のワクチンと同時に打っても大丈夫?

国内外の研究で安全性が確認されています。お子さんの状況に合わせて医師が組み合わせを調整します。

Q4. スケジュールが遅れてしまいました。どうすればいいですか?

月齢に合わせて回数や間隔を調整できます。母子手帳をお持ちのうえ、医師にご相談ください。

用語のやさしい説明

  • 肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae):子どもの中耳炎・肺炎・髄膜炎などの原因となる細菌。
  • 侵襲性肺炎球菌感染症(invasive pneumococcal disease:IPD):肺炎球菌が血液や脳にまで広がる重い感染症。
  • 肺炎球菌結合型ワクチン(pneumococcal conjugate vaccine:PCV):乳児でも免疫がつきやすいよう工夫されたワクチン。
  • キャッチアップ接種:予定より遅れてしまったときに回数・間隔を調整して接種する方法。

参考情報

© 2022 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. L631120

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